社会を読み解き、授業をつくるー社会科教育研究室
研究を始めたきっかけ

大学院時代に学んだアメリカの法教育教材
私の研究は、社会科教育を軸に、法教育(身近な社会問題を法律やルールの観点から考える学習)や、授業中の対話?語りの分析?可視化に取り組んでいます。研究の出発点は高校教員時代の経験です。
当時、私の課題は「実社会と学びをどう結び付けるか」が大きな課題としてありました。あるとき、アルバイトの賃金や働き方の悩みを授業題材にしたところ、1時間の授業が成立し、生徒が自分事として考え始めました。ここから、生活上の問題を社会の仕組み(法?制度)と結び付けて学ぶ意義、そして学校教育における法的な見方?考え方の不足を強く意識するようになりました。
2005年頃から、法教育の実践的研究に取り組み、学校現場での実践を重ねてきました。その後、大学院修学休業制度を活用して、社会人として大学院で学び直し、在学期間中、法務省や弁護士会などの会合などに参加しながら、学校現場と研究を往還する基盤を築いてきました。
研究室(ゼミ)の紹介

私が執筆?編集に関わった本
社会科教育研究室は、歴史教育を専門とする外池先生とともに運営し、歴史?公民?地理の複数の視点から社会科教育全般を扱います。
ゼミでは、学生自身の問題意識を起点に卒業論文へと発展させることを大切にしています。国際理解教育、話合い?合意形成、主権者教育など学生が選択するテーマは多様です。
ゼミ全体での共同学習を重視し、考えたことや議論を「文章化」する過程を通して、自分の考えを根拠とともに整理し、他者に伝わる形に磨いていきます。
地域?社会への還元

弁護士による授業を分析したもの。語と語の繋がりが可視化される

学校から周辺地域を高所視点で見渡せる教材
教育研究は、成果が授業改善として現場に直結しうる点に特徴があります。近年はICTやAIを活用し、授業中の発話を丁寧に記録?分析する方法を発展させています。
例えば弁護士会と協力し、弁護士による出前授業の対話をプライバシー保護に十分配慮しながら分析し、授業の特徴や改善点を共有してきました。
今後は、教員志望学生の模擬授業にも応用し、「意図した働きかけ」と「実際の対話」のずれを可視化して、授業力の向上に還元していきます。
さらに、地域教材開発として、ドローン等を用いた地域理解の学習づくりにも取り組んでいます(公益財団法人 伊徳地域振興財団の2024年度研究助成)。学校統廃合で通学域が広がる中、身近な地域をどう教材化するかは喫緊の課題であり、県内協力校と連携しながら、授業で使える形へと整えていく予定です。
読者へのメッセージ

研究の一環でフィンランドへ視察に行った際の様子
学校教育への期待が大きい一方で、教職を取り巻く環境は厳しさを増しています。それでも、児童や生徒にとって学校での経験はその後の人生に深く影響します。本学部には、多様な専門の教員が協働し、地域(秋田)と全国的課題の双方に向き合いながら教員としての資質?能力を高める学びの場があります。
社会を読み解き、他者と対話し、よりよい授業をつくる力を、ここで一緒に育てていきましょう。
(取材:広報課)
※掲載内容は先生ご本人による執筆です


