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2024.2

May Sann Aung

Happiness is loving what you do and knowing it matters. (幸せとは、自分の仕事を愛し、その重要性を知ることです。)

  • May Sann Aung(めい さん あうん)
  • 秋田県立大学 生物資源科学部 生物生産科学科
  • 特任助教
研究内容を教えてください

主に以下の二つの研究テーマに取り組んでいます。
「鉄?亜鉛栄養価の高いミャンマーイネの作出」
私はミャンマー出身ですが、私の母国では、女性や子供の半分以上が鉄欠乏貧血症であり、亜鉛欠乏症も同様に非常に多いです。そこで、イネの鉄や亜鉛の吸収と体内輸送、鉄の白米の蓄積能力を強化する遺伝子をミャンマーのイネに導入することで、鉄及び亜鉛栄養価の高いミャンマーイネを作出出来れば、この問題の解決に貢献できると考え、実際に白米の鉄栄養を3.4倍に、亜鉛栄養を1.3倍に増加したイネを作出しました。また、今は秋田のお米の栄養価を高める品種改良にも携わっています。
「イネの鉄過剰耐性機構における分子メカニズムの解明」
また、鉄は、多すぎても害となります。東南アジアやアフリカ、ブラジルの酸性土壌の稲作において鉄過剰害は深刻な問題となっています。毎年世界中で、8000万トンのイネの収量が失われ、400億ドルの経済的損失が引き起こされています。この有効な解決策の一つは、鉄過剰に耐性のあるイネを育種することです。私は、そのために必要な「イネが鉄過剰条件下でどのような分子応答を示すのか」及び「鉄過剰関連遺伝子について」の研究を進めてきました。

進路を決定したきっかけや今の研究をしようと思った
きっかけがありましたら教えてください

イェジン農業大学を出て、ミャンマーの農林水産省に国家公務員として10年働きました。2007年にアジアユースフェローシップ(AYF)に応募したところ、幸運にも採択され、日本に国費留学生として留学するチャンスを得ました。東京大学大学院農学生命科学研究科に留学し、修士?博士課程の研究テーマとして、「鉄?亜鉛栄養価の高いミャンマーイネの作出」を選びました。理由は、私は、昔から植物を育てたり、観察するのが大好きでしたし、留学先の研究室がイネの鉄?亜鉛栄養の吸収や体内輸送に関する高度な知見を持ち、複数の遺伝子を同定していたのに加え、私の母国の鉄欠乏や亜鉛欠乏症の改善にも貢献しうる意義のある研究テーマだと思ったからです。博士号を取得後、石川県立大学に研究の場を移しました。イネの鉄過剰耐性の研究テーマの重要性も感じ、JSPS外国人特別研究員で研究課題を申請したところ、2014年に採択されました。さらに、この研究課題で2018年と2021年の科研費(若手)の研究予算も確保できました。2019年に秋田県立大学に着任してから現在まで、引き続き上記二つの研究課題に取り組んでいます。

仕事と生活を両立するために実践している事、心がけている事はありますか

1) 家族の理解と協力を得ることをまず心がけました。
2) JSTや秋田県立大学にある子育て支援や女性研究員の研究支援のための制度を利用しました。
3) 自分の研究費 (科研費など)で研究補助員を雇いました。
4) 綿密にスケジュールを立て、効率よく仕事を行っています。
5) 定時に帰るようにし、反面、夜間や土日など、自宅でできる仕事は自宅で行っています。

理系進路選択を迷っている女子中高生の皆様に向けてメッセージを一言お願いします。

自分に興味があることをやるのが大切だと思っています。科学技術は、世の中にある問題を解決する上で非常に役立つと思います。自分達で考え、仮説を立てて、自分達で実験をし、結果を得て考察し、新たな科学技術の知見を得て、それを社会や世界の問題の解決につなげることを目指しています。そういった研究活動はとても面白いし、人々のより良い生活や社会貢献につながりうる研究成果を上げるのはとても幸せに思います。
研究者には男性が多いですが、女性は特に細かいところまで観て観察するのが上手だと思います。また、研究活動においてもグループワークが大切ですが、女性はコミュニケーションが上手なので、そういった点もとても研究者や理系に向いていると思います。

●プロフィール(経歴)

ミャンマー?イェジン農業大学卒業 (学士)

ミャンマーの農林水産省に勤務
(その間 タイのコンケーン大学で修士号 (農学) を取得)

東京大学大学院農学生命科学研究科
修士?博士号(農学)を取得

石川県立大学 日本学術振興会 JSPS外国人研究員

石川県立大学 ALCAプロジェクト研究員

現職
今も2人の子供を育てながら働いています。

●マストアイテム

スマートフォンとメモノート
 研究を進めるうえで、記録を取ることはとても大切です。実験植物の状態や、新しく思いついた実験方法、出会った人々、訪れた場所、興味深いwebサイトのスクリーンショット、紙の資料など、何かあれば、すぐにスマートフォンで写真を撮って記録します。撮影した写真を全てパソコンに保存して管理しています。また、A5ノートはいつでも持ち運べる手軽なサイズで、そこに研究や日常生活でも思いついたことを、いつもすぐにメモします。これらを後で見返すことで、思わぬところでとても役に立ちますし、自分の経験の補足資料になります。後で誰かに見せて説明するにもとても役立ちます。

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