教育実地研究
教育文化学部では、平成24年度から教員免許を取得し、教職に就きたいと希望している学生にその初心を貫徹してもらえるように、新たな実践科目を立ち上げました。もっとも重視したのは、教育現場での実体験を積み重ねて、子どもたちへの理解や学校、教員の実情を身近に感じてもらうことでした。より充実した教育実習や介護等体験にも生かしそしてそれらの実習をさらに深めて教育現場を網羅するような視点から、「教育実践力の育成」を大きな目標に教育実習を行う前の1年次から4年次まで段階的に実践的内容をⅠ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳと学年進行にあわせて計画しています。
「教育実践力の育成」には、教育実習等では体験できない地域での子どもとの活動、学校の行事や教員の補助などを経験し、その後の実践的な学習や卒業後の教育活動に結びつけてくことをねらいとしています。現在のところ教員免許取得を取得する学生は、教育実地研究Ⅰは必修、Ⅱ~Ⅳについては、1科目選択必修となっています。
教育実地研究のそれぞれの内容とは
1)教育実地研究Ⅰ(教員免許取得は必修)
1年次対象の教育実地研究Ⅰは、実践的カリキュラムのスタートとして異年齢の子どもたちが活動する児童館等で、子どもたちの遊びや学びをサポートし、子どもとのふれあいの楽しさを通して、教育や子どもに対する関心を深め、教員として働くための基本的な態度を身につけていきます。
具体的には大学から通うことができる児童館、放課後児童クラブ、特別支援学校において、放課後の学習、遊び等のサポートを20時間以上行うことになっています。
活動した学生の感想
児童館での活動を終えてのふりかえりのレポートから(1年生、男子学生)
児童館ボランティア活動では、私が教職に向いているのかを子どもと過ごしながら考えることができました。最初はジ児童館の子どもが私とどのように接してくれるのか、また子ども馬鹿にされたりはしないかなど不安や緊張がありました。これも教職に初めて就く時に感じることだと思います。私はそういった気持ちにならないように自信を持って、初めは自分から子どもたちに話しかけたりして、次第に子どもたちと過ごす時間を多くとることができ、子どもたちのことを理解しようと努めることができました。
子どもたちと過ごしながら、子どもたちの様子や子どもたちへの必要な支援は何かなどに気づいたり、考えたりしました。子どもたちの様子から見ると学年による子どもの考え方や遊びに違いがあることに気づくことができました。例えば、1年生は自己主張が強く自分がしたい遊びをどこまでも主張してくるという特徴があるが、実際はそのしたい遊びのルールを分かっていない子どもが多く、私が教えたり、上の学年の子に教えたりしてもらっていました。2 年生もそのような子が多くいました。3年生になると自分たちでルールを教えあったりして、楽しく遊んでいました。4~6年生になるといろんな遊びができるようになり、ゲームでの勝ちにこだわる姿勢が見られ、自分が優位になるような遊びを繰り広げていて、考えることが違うなと思いました。また、学生に関係なく、自ら勉強の時間を決めて、遊んでいる途中であっても、遊びをやめて勉強している子どもの姿を見て偉いと思いました。支援としては、子ども同士でロ喧嘩が多く発生し、その中で誤った言葉使いをとしてしまう子どもがいたので、注意してからどうしてこの喧嘩が始まったのかを聞き、どうすれば解決できるのかを子どもと一緒に考え、仲直りさせるアドバイスをしました。子どもたちが帰ったあとも、本棚の本をきちんと並べ替えたり、掃除機をかけたりして子どもたらが過ごしやすいようにし、時間があれば、児童館の先生方からアドパイスをいただき、自分の対応の課題について考えることができました。
私が児童館活動の最後に催したイベントでは、自分の専門教科となる体育のような体を動かすことができる、パラシュートを使ったと遊びを児童館の先生方にも手伝ってもらいながら行いました。子どもたちの反応は良く、やる前から目をキラキラさせ、やるとなるとはりきってパラシュートを持って遊んでくれました。このイベントで予どもに指示を出すためには、子どもにわかりやすく、伝わりやすい声量が必要だと感じ、来年の教育実習に向けての課題を見つけることができました。
2)教育実地研究Ⅱ
2年次対象の教育実地研究Ⅱは、保呂羽山少年自然の家、太平山事前学習センターおよびあきたリフレッシュ学園において野外活動のサポートを通して、子どもや子どもたちの活動への興味?理解を高めることを目指しています。小中学生の1泊ないし2泊のキャンプで、野外炊飯、登山、ハイキング、キャンプファイヤー、自然観察等の補助スタッフとして活動します。
活動記録
平成26年度 教育実地研究Ⅱ 活動報告
★活動場所???秋田市「まんたらめ」 秋田県保呂羽少年自然の家
★活動紹介
【まんたらめ】
〇太平山奧岳登山(小雨の中でもみんな元気に山頂に到着しました)
【保呂羽少年自然の家】
〇野外でのテント設営(テントの組み立てはなかなか上手でした)
〇飯ごう炊飯の様子
(煙が目にしみます)
〇キャンプファイヤー
(学生は火の神様に扮してセレモニーを行いました)
★参加学生は次のように感想を述べています。
〇子どもたちとの積極的なかかわりができ、いろいろな発見がありました。
〇キャンプならではの知識や技術を学ぶことが出来ました。この経験は教師になったときに生かせると思います。
〇子どもたちに手を貸しすぎたという反省がありました。また、教師として広い視野と柔軟な考えが足りないことに気付きました。
3)教育実地研究ⅢおよびⅣ
3年次対象の教育実地研究Ⅲ、4年次対象の教育実地研究Ⅳは教育実習の経験を生かした継続的なカリキュラムとなっています。実地研究Ⅲは、附属学校での教育実習を修了した3年次が市内の学校の各種の行事のサポートを行い、4年次対象の実地研究Ⅳでは、さらに学校の授業のサポートや放課後の学習指導、部活動など教員の補助的な体験活動を進めています。
活動した学生の感想
教育実地研究Ⅲ、Ⅳを終えて
約1ヶ月にわたり、小学校で体験活動をさせてもらった。2年生の配属となり、午後の授業の補助や放課後の先生の仕事の手伝いなど、教育実習とは異なり、様々のことを学ぶことができた。作文のチェックや絵などの掲示物の張り替えを行うことなど、他の面から子ともたちを見るという体験をすることができた。2年生ということで、掃除の仕方や話し方、聞く姿勢なども観察できた。こんな部分も指導していくのかと低学年の難しさ、面白さを感じた。教師の仕事の良さの一つとして、子どもと長期間に関わり、変化を見ることができることであると感じた。今回、自分が触れたのは、教師の仕事のごく一部であり、大変なことが多くあると考えられるが、教師になりたいという気持ちが強くなった。
(教育実地研究Ⅲ 3年次女子学生)
活動を振り返って、児童との向き合い方を考え直すきっかけとなった。学年や発達段階に合わせて求められることが変わり、それに伴い対応も変わっていくということを体験することができた。特別支援学級で子どもに付き添う活動も行った。この学級の様子を見て、支援の方法を考えることができたことは一番の成果だと思う。通常学級でも児童がどのようにつまずいているか、支援員はどのような関わり方をするのかについて観察できた。また、授業や生活の様子を通じて、教師の指示の仕方や児童との関わり方を学んだ。単調に話すのではなく、声の音量を変えたり、厳しい口調で話したり、途中で話を止めて注目を集めたりと様々な工夫が見られ、自分もできるようになりたいと思った。
(教育実地研究Ⅳ 4年次女子学生)
最も印象に残っていることは、児童がたくさんの共感を求めてきたことである。「~できた」「~した」ということを私に報告してくれたのに対して、「~したの!すごいね」「できるなんてさすがだでね」などと声をかけたあとの児童の嬉しそうな表情がとても印象的だったからだ。そこで、私は共感することの重要性を実感することができた。今後も自ら積極的に子どもたちと様々なできごとを通して共感していきたと思った。また、どうすれば児童が様々な人と共感的な人間関係を築いていく力を見に付けさせることができるかを今後の課題として追求していきたい。
(教育実地研究Ⅳ 4年次男子学生)
以上のように教育実地研究Ⅰ~Ⅳは、教員養成における実践的カリキュラムの中で、初年次から卒業までの継続的で発展的な内容を含んだ科目となっています。活動を行った学生は、教職に対する不安が軽減され、実践力とともに教員志望をより強く持ち続けていることがわかります。