

私は、2022年9月から2023年7月までの間、イタリアのエミリア?ロマーニャ州に位置するフェラーラ大学に留学を行いました。留学先では、イタリアの美術について実際の観察を行いながら、文献の収集や学習をしていました。大学では建築史や現代美術史、イタリアで発展したルネサンスやバロックの美術など、幅広い美術に関する専門知識のための授業を受けました。同時に都市人類学や地理学の授業を通じて、イタリアにおける街の捉え方、構成について学びました。そういった学びの中で、イタリア人がイタリア性、自分たちの国民性を大切にしていることに気づきました。このイタリア性という考えが、他国からみても魅力的な国を作り上げ、今日にも続くような素晴らしい文化の形成に影響したと考えます。
現在は、オーバーツーリズムなどといった観光に関する問題によって、多くの街が以前のようにはいかないことが増えています。フィレンツェではAirbnbの増加によって住民が日常的に暮らせるアパートがなくなったり、ヴェネツィアでは来年から入島税が課せられるようになったり、変化せざるを得ない状況になっています。しかしそれらは自分たちの愛する街や国を守るためのポジティブな変化だと私は思います。イタリアと日本は独特で魅力的な文化を持つ国として多く共通点があると考えられるため、今後もイタリアの動向に注目していきたいです。
留学での生活は何もかもが初めてのことでした。お会計の方法や、スーパーで売られているもの、ゴミの捨て方など、ほとんどが日本でのやり方と異なっていました。最初は戸惑い、失敗を繰り返しましたが、ルームメイトに聞いたり、言語交換パートナーに聞いたりして、徐々にできるようになっていきました。また、一人で旅行をしてみたり、たまにはカフェで勉強したりしました。外国でも一人で暮らせるという経験は私に多くの自信を与えてくれました。そして暮らしていく中で、フェラーラという町に安心感を覚えるようになりました。フェラーラの街を散策し、街の人々と関わっていく中で、私もこの町の一員として暮らせていると思えました。フェラーラにアジア人は少なく、わかりやすくじろじろと見られることや、差別的な経験も何度かしました。ですがそれに落ち込むのではなく、自分はそういうことは絶対にしないと強く誓い、どうしてそのようなことが起こってしまうのか考えるきっかけにもなりました。
留学によって、世界には色々なもの、人、場所があり、それぞれが大切なものとともに生活していることがわかりました。イタリア人の生活は人との交流の中にあり、穏やかで賑やかなものでした。このことから、私も積極的に人と関わり、支え合いながら、より良い生活、人生を目指していきたいと思えるようになりました。今回の留学から、今後何十年も続く人生の軸を一つ得られたように思います。帰国後も留学の思い出を振り返り、まるで夢のような体験だったと恋しく感じることがあります。これからも、今回の思い出を大切にしながら、自分は何をしたいのか、そして何でもできると思って、様々なことにチャレンジしていきたいと思います。