コラム「この先生にきいてみよう」
第13回 大学で一番楽しいのはいつ?
田中 元志(大学院工学資源学研究科 准教授)
大学に入学して一番嬉しいのは、1年生のときだろう。では、一番楽しい(面白い)のはいつだろう(英語のinterestingの意味での質問である、funnyではない)。1年生? 2年生? 3年生? それとも4年生? たぶん「就職や大学院受験があるし、卒業論文も書かないといけないから、4年生は大変だ」と思う人は多いかもしれない。でも、私は4年生のときが楽しかった。サークル活動(軽音楽部)なども面白かったが、研究室*に配属されてからが楽しかった。
研究室に配属される時期は学部?学科などによって異なるが、3年生までは座学(講義を聴く)が中心である。4年生では、研究が中心となる。つまり、卒業論文を書くために、研究をすることになる。この研究活動が意外と面白いのである(やっているときは、けっこう辛いが...)。ところで、研究とはなんだろう。一般的には、ある特定の物事について、実験、観察、調査などを通して、その物事についての事実を深く追求する一連の過程のことを言う。工学系では、その中に新規性が求められる。したがって、これまでに蓄積したもの(勉強したもの)をベースにして創造しないといけない。簡単に言うと、新しいアイデアを出さないといけない。しかし、そう簡単には、よいアイデアは出てこないし、期待する結果も出ない。でも、それを自らの手で実現できたときの喜び(嬉しさ)はひとしおである。それが、なかなか測れなかったものが測れた、装置を作製できた、プログラムを作成できた、などちょっとしたことかもしれない。その大小は関係ない。私はそれを体験できたと思うし、皆さんにもそれを体験していただきたい。
研究室には、教職員、先輩がいる。勉強や研究だけではなく、遊びもある。右の画像は、研究室の仲間(後輩)とバンド演奏したときの私である(約20年前)。また、種々の約束事があり、小さな社会でもある。研究室でのすべての活動(研究はもちろん、その他の行事への参加も)が、学生時代に学ぶことの総まとめと言える。私の場合、大学院に進学したので6年間も楽しんだことになる。研究室でできた友人(縦も横も)とは、今でも付き合いがある。
ときどき、「ここは第一志望ではなかった」というような声をきく。また、それを理由にしている場合もあるようである。私は「住めば都」と思う。私の場合、配属された研究室は第一志望ではなかった(じゃんけんに負けたのだ)。研究室での生活を体験する前は「大学院に進学したら移ってやる!」と考えたが、結局移らなかった。私は第二志望であったが、全く希望通りにならなかった友人も移らなかったのである。なぜだろう? 私は、面白い(興味深い)ことを見つけ、与えられた環境を「都」にできたためと考えている。もし、第一志望通りになっていたら、今とは全く違う人生かもしれない。重要なことは、「いかに興味をもって取り組むか」である。
皆さんも大学に入って、研究室での生活を大いに楽しんでいただきたい。また、楽しめるように努力していただきたい。