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金鲨银鲨_森林舞会游戏-下载|官网研究者 岩瀬剛教授

Lab Interview

より良い成果を患者さんに還元するための研究

得られたデータから最善の治療法を追求する

 私たちは身の回りからの情報を視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚の五感で得ており、そしてその80%は視覚から得られていると言われています。そのため、目は情報を得るうえで非常に重要な器官で、私たちは視覚に大きく依存しながら生活しています。
 視覚は目で捉えた光や色が神経を通じて脳に伝達されることで映像として認識され、「見える」と感じることができます。しかし、目には多くの疾患があります。
 岩瀬教授は、臨床で診察をしていると素朴な疑問が出てくることがあると言います。その疑問を解決するために、そしてより良い治療をするために今日まで研究を進めてきました。研究では臨床から得られたデータを集めて解析したり、疑問点を解決したりするために実験的なことが必要となる場合もあります。
 「研究のための研究や論文を書くためでもなく、より良い成果を患者さんに最終的に還元するために研究を始めたことがきっかけです」

 目は、血管や神経、網膜、組織などを直接見ることができる特殊な臓器です。そのため緑内障や白内障などの病気のほか、成人病の高血圧や動脈硬化、糖尿病性網膜症などの内科的な疾患の状態を把握するために眼底検査を行うこともあります。眼底検査は他の診療科に比べて直接血管や組織を見ることができるため、画像解析が進んでいるのだそうです。
 光干渉断層計(OCT)を用いることで、切片を切って組織を調べることなく生体そのままで効果を観察することもできます。OCTから得られた多くの疾患に対してデータを積み重ねて解析し、それを数値化してデータを大学院生の先生たちと研究をしているといいます。
 近年使用されているOCTアンギオグラフィーはOCTをグレードアップしたもので、より短時間で詳細に画像を冊層することが可能となっています。眼底の血管の中を流れる赤血球の動きから血管の狭まりや詰まり、新生血管の発生など血管形態を画像化することができます。そのうえ造影剤不要で画像処理されていることから見落としがないのだそうです。
 また、直接血管を観察できることから、レーザースペックルフローグラフィーは約4秒間で非侵襲的に眼底の血流を計測できます。加療により血流動態がどう変化したのかも詳細に調べることができ、岩瀬教授はこの検査機器を用いて今まで不明であった眼の血流動態について多くの新しい知見を報告してきているそうです。

OCTを用いた網膜構造と視力との関係について

視細胞は再生され、その程度により視力の回復が異なる

OCTを活用した網膜剥離手術後の様子

黄斑剥離を伴う網膜剥離眼

 岩瀬教授によると、OCTを用いた研究を多数実施しているとのことです。その中でも裂孔原性網膜剥離に関する研究についてお話がありました。網膜剥離とは、網膜が視細胞と網膜色素上皮の間で剥離する疾患です。特に黄斑部という、網膜の中心に位置し視力に最も大きな影響を与える部位が剥離すると、手術後も十分な視力回復が得られないケースが多いとのことで、この原因は長年明らかにされていなかったそうです。
 岩瀬教授らは、OCTを活用し網膜剥離手術後の網膜構造を経時的に解析し、特に黄斑の再生過程を追跡しました。研究では、手術後1か月時点では黄斑が剥離している目では視細胞が部分的に欠損しており網膜外層の厚みが薄かったそうです。しかし、時間が経つにつれ視細胞が再生されることで網膜外層の厚みが増し、視力も改善していく様子を確認したそうです。
 また、黄斑部の外層が盛り上がった形状、いわゆる「foveal bulge」の形成が視力改善の独立した予測因子であることを多変量解析で示したと話しています。この「foveal bulge」を持つ目では、術後のいずれの段階で形成されても、網膜外層の厚さや視力が観察期間を通じて顕著に高く、視細胞外節の密度回復が視力改善と密接に関連していることも突き止めたそうです。
 この研究は、網膜外層、すなわち視細胞が再生可能であること、さらに「foveal bulge」の形成が視力改善の重要な指標となり得ることを示したとのことでした。

網膜血流の部位による違い

姿勢が変わっても眼の血流動態は変わらない

レーザースペックルフローグラフィー

 レーザースペックルフローグラフィーを用いた研究の1つは、健康な日本人を対象に、網膜の上半分と下半分で血流量がどのように異なるのか、また姿勢の変化がその血流にどのような影響を与えるのかを調べ、世界で初めて以下の結果を得て論文として報告したそうです。重力の関係で、普通に考えると下方の方に多くの血流があるように思いますが、詳細に調べてみると網膜上方の血流量や血管の太さ、血流速度の値が下方よりも明らかに高かったとのことです。
 さらに、座位から仰臥位へと姿勢を変えた際、眼灌流圧(眼に入る血流圧)は変動したものの、上方と下方の血流の差は変わらなかったそうです。この結果は網膜血流には強い自律調節機能が存在し、姿勢の変化に影響されないことを示唆しているとのことです。

レーザースペックルフローグラフィーから得られる血流信号
暖色系色調(赤);血流速い、寒色系色調(青);血流遅い

 また、網膜上方の血流が多い理由として、解剖学的および機能的な特徴が関連していると考えられるそうです。上方網膜には下方よりも多くの神経節細胞が存在し、網膜自体も厚いことがわかっているとのことです。こうした特徴が、網膜静脈分枝閉塞症といった疾患が上方に多く見られる原因となっている可能性があるとしています。
 このように、網膜上方の血流が下方よりも多いという事実が確証されたことで、網膜疾患の研究や診断において、上方と下方の血流の違いを考慮する必要性が示されたとのことです。また、健康な目では姿勢の変化に影響されず血流が安定しているため、この自律調節機能が目の健康維持において重要であることも確認されたそうです。岩瀬教授は、「この研究結果は網膜疾患の発症メカニズムを理解するうえでの基盤となる可能性がある」とお話しされていました。

女性と男性の血流動態の違い

女性の方が男性より血流が速い

 岩瀬教授は同じレーザースペックルフローグラフィーを用いて網膜の血流を測定したところ、女性の方が男性よりも有意に血流流速が速いことを初めて確認したとのことです。この性差は年齢や血圧といった他の因子を考慮した場合でも独立して存在することが示されました。また、1心拍内での血流が血管内を流れるパターンが、女性と男性で異なることが明らかになったとのことです。このため、眼疾患の血流データを解釈する際には、性差を考慮する必要があると結論付けられました。
 その後、しばらくこの網膜血流の性差の原因については不明でしたが、さらに詳しく全身の因子と検討されそうです。その結果、女性では血中のヘモグロビン濃度やヘマトクリット値が男性よりも低いのですが、これらの血液学的指標が網膜血流の流速と負の相関を持つことが示され、これが血流の性差を説明する重要な要因であると突き止め、論文として報告したとのことです。
 また、女性ホルモンであるエストロゲンが血管拡張作用を持つことから、性ホルモンの影響も関与している可能性が指摘されています。これらの研究は、眼血流の性差を理解することが、眼疾患のみならず全身の循環器疾患の理解にも寄与することを示唆しているとのことです。

糖尿病網膜症における血流や血管状態について

糖尿病になると血管が狭細化する

 秋田県では、他の地方に比べて糖尿病網膜症の重篤な状態の患者さんが多いとのことです。その糖尿病網膜症における網膜血管の構造変化と血流の関係について詳しく調べたそうです。この研究では、2型糖尿病患者の目を対象に、網膜動脈の壁厚、外径、内腔径、壁内腔比(WLR)を高解像度の補償光学眼底カメラで測定し、血流をレーザースペックルフローグラフィーで評価しています。対象となった患者は、網膜症のない目から、軽度?中等度の非増殖型糖尿病網膜症から増殖型糖尿病網膜症の目まで幅広く含まれています。

 研究の結果、増殖型糖尿病網膜症の目では他の群と比較して、網膜動脈の壁厚が顕著に厚くなり、内腔径が狭小化していることが確認されました。一方で、血管の外径には有意な変化が見られなかったそうです。加えて、血流流速や総網膜血流指数が増殖型糖尿病網膜症では顕著に低下しており、血管の構造変化が血流の減少に強く関連していることが示されています。
 興味深いのは、増殖型糖尿病網膜症の目がすべて網膜光凝固治療を受けている点です。この治療が虚血組織を破壊し、酸素需要を低下させることで、血流の減少や血管壁の肥厚を引き起こしている可能性があると述べられています。また、全身性高血圧や低密度リポタンパク質(LDL)の増加がWLRに寄与していることも指摘されています。
 さらに、この研究では、レーザースペックルフローグラフィーが糖尿病網膜症の各段階での血流変化を迅速かつ非侵襲的に評価することにおいて、簡便かつ有効な手法であることが示されました。このような詳細な解析は、網膜血管の微細な変化を把握し、糖尿病患者の眼疾患管理や治療効果の評価に重要な役割を果たすことを示唆しています。

秋田県の未来を見据えた眼科医療と次世代を担う人材の育成

 眼科は新生児からお年寄りまで幅広い年代の患者さんを診療し、治療法には内科的要素や外科的要素も含まれます。加齢に伴って発症する疾患が多い白内障や緑内障は高齢化が進む秋田県では、眼科は今後重要な役割を担うことにもなります。目が見えることは生活の質(QOL)に深く関わり、生活を楽しむことや英気を養うことにもつながります。
 岩瀬教授は「薬による治療であっても手術が必要な場合であっても、なんとかして治してあげたいという思いで臨床にあたっています」と言います。金鲨银鲨_森林舞会游戏-下载|官网は来年度から初期研修から大学院へ入れる教育システムを構築し、若き医療従事者の育成にも積極的に取り組んでいます。これは他大学には無い唯一の教育システムで、一歩先を見越した教育体制となっています。
 常に患者さんに寄り添い、より良い治療法を還元しながら秋田県の高齢化を見据え、秋田だからこそできるこれからの医療従事者の育成にも積極的に取り組んでいきたいと話す岩瀬教授の目は、優しい中にも熱く、揺るぎのない気持ちがこもっていました。
 目の疾患は年齢や性別を問わず多くの人に影響を与えています。私たちの目の健康を守るため、岩瀬教授は日々最適な治療法を探求し、これからも研究と向き合っていきます。

研究室の学生の声

井上 陸大 さん

 私は、岩瀬先生の座学や実習から眼科に興味が湧きました。OCTで得られた画像には特に惹かれるものがありました。眼科は医局の人数も少ないのですが、その分先生たちが熱心に指導してくれますし、若手でもいろいろな経験ができることがあります。私は秋田県外の出身ですが、眼科医を目指してこのまま秋田にいることに決めました。
 本来は2年間初期研修を終えて、3年目から医局に入り臨床を勉強したのちに後期研修から大学院へ入学するのですが、来年度から新しい研修システムが適用になり、初期研修から大学院に入れるようになります。これは他大学では実施されていない金鲨银鲨_森林舞会游戏-下载|官网だけの教育システムとなっていて、最短で臨床の経験もできます。
 論文や学位をとったり、研究結果や費用をその次の研究に活かしていったりなど、今後に向けて良い循環を作っていきたいと思っています。

(取材:広報課)
※掲載内容は取材時点のものです

大学院医学系研究科 医学専攻
病態制御医学系 眼科学講座
教授 岩瀬 剛 Takeshi Iwase
  • 金沢大学 医学部 1992年3月卒業
  • Johns Hopkins大学(アメリカ) 2008年7月~2012年5月留学
  • 【取得学位】
    金沢大学 博士(医学)
  • 【所属学会?委員会等】
    日本眼科学会評議員、日本網膜硝子体学会理事、日本糖尿病眼学会理事、あきた移植医療協会副理事長、Journal of Ophthalmology editorial board member、BMC Ophthalmology editorial board member