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金鲨银鲨_森林舞会游戏-下载|官网研究者 後藤文彦

Lab Interview

発想の転換~環境外力を回避するトランスフォーム橋 “床版開閉式木橋”の開発~

土木材料としての木材の特徴

 土木構造物とは、社会基盤を構成する公共?公営のための屋外構造物で、上下水道やトンネル、道路、橋梁などを含みます。後藤教授は橋梁の中でも特に木橋に着目して革新的な材料や構造技術の開発、設計手法、施工プロセス、さらには維持管理技術に関する研究を行っています。
 土木構造物を構成する主な材料としては、コンクリートや鋼材、木材などがありますが、それぞれに特徴があり、それらが長所になったり短所になったりします。例えばコンクリートは型枠に流し込めば、現場で巨大な形状を成形しやすいですが、圧縮強度に比べて引張強度が小さいため、引張が発生する箇所には鉄筋を入れて補強するといったことが必要になります。鋼材は、他の材料に比べて強度も剛性も非常に大きいですが、比重も大きく重い材料で、切断や接合といった加工は容易ではありません。木材は、他の材料に比べると剛性が小さめのやや柔らかい材料ですが、軽量で運搬や加工がしやすく、比強度(自重に対する強度)が飛び抜けて大きいという長所がありますが、屋外で使用される木橋等の土木構造物の場合は、雨水に晒されて腐りやすいという短所もあります。
 木材の腐朽は、水分、酸素供給、温度といった条件が揃うことで促進されますが、これらの一つ以上を抑制することで防止することができます。伝統的な木造建築が数百年の耐用年数を有する背景には、屋根による雨水遮断が大きく寄与しています。しかし、木橋においては雨水が直接材面に作用するため、腐朽が進行しやすいという難しさがあります。

日本における木橋と近代木橋

 日本における木橋は、古来からの技術的な蓄積があり、明治時代以降も特に森林鉄道として多数の木橋が架けられてきました。しかし、1960年代以降の高度経済成長期には交通需要が急激に増大し、これに対応するためにコンクリート橋や鋼橋が急速に普及しました。そして木橋は当時「永久橋」と呼ばれたコンクリート橋や鋼橋に置き換えられていきました。

 1980年代後半、建築基準法の改正とともに集成材技術や防腐処理技術が進展したのに加え、鋼材とのハイブリッド化技術も開発されました。これらにより従来の伝統的な木橋とは異なる「近代木橋」が注目されるようになりました。
 集成材の利用や鋼材とのハイブリッド化により部材の強度や剛性が飛躍的に向上したことで、近代木橋においては、アーチ橋やトラス橋といった大規模な構造形態の適用も可能となりました。これらの技術革新によって2000年頃には「近代木橋の黄金期」とも呼べる時代が到来したのです。

現代の橋梁における維持管理の課題と展望

 近年の橋梁設計は構造物のライフサイクル全体を考慮した維持管理を前提としており、かつては「永久橋」と呼ばれたコンクリート橋や鋼橋においても、その老朽化や劣化が顕在化し、維持管理が大きな課題となっています。これらのインフラを安全かつ効率的に維持するためには、定期的な点検と予防的保全が不可欠となります。
 現在、橋梁やトンネル等の道路インフラは5年ごとの定期点検が義務付けられており、「永久橋」という概念は事実上失われています。後藤教授は、「インフラ構造物の設計において、建設段階からメンテナンスを前提としたアプローチが必要である」と指摘しています。そうした予防保全を主軸とした取り組みは、持続可能な社会基盤構築の鍵となるでしょう。

オンサイト木橋の開発と今後の可能性

オンサイト木橋誕生の経緯

 近年、二酸化炭素(CO?)排出やプラスチック廃棄物による環境問題が深刻化する中、カーボンニュートラルや完全生分解性を持つ木材の利活用が注目されています。その木材は環境負荷を軽減する材料として、さらなる普及と推進が求められています。中でも、メンテナンスを前提とした場合、木橋は部材の交換が容易であり、加工性に優れているという特長を持ちます。
 後藤教授は2009年、秋田県立大学木材高度加工研究所と日本機械工業株式会社との共同研究で、現地で簡単に組み立てられるオンサイト木橋の開発に着手しました。この木橋の構造材には、間伐材でも利用できるように12cm×12cmの角材が活用されています。間伐材は森林資源の適切な管理の一環として、樹木の健全な成長を促す目的で伐採された木から製材される木材です。
 植物は光合成によってCO?を吸収し、炭素として内部に蓄えます。このように植物がCO?を炭素として固定化する働きは「炭素固定」と呼ばれます。炭素固定された樹木を木材として利用すれば、その木材が燃やされたり腐ったりして再びCO?に分解されるまでは、炭素を固定し続けることで、大気中のCO?削減に貢献します。しかし、間伐材を活用する場合、運搬の過程で多くのエネルギーを消費し、CO?も排出してしまうという問題もあります。
 オンサイト木橋では、山間部で伐採され現地製材された間伐材でも利用しやすいように、12センチ角の角材を並べて鋼部材によって固定し箱断面を形成するハイブリッド構造が用いられています。このタイプの木橋は、秋田県内では三種町の農地や、森吉山や太平山の登山道など、10橋弱が架けられています。

目的に応じたオンサイト木橋

 2011年の東日本大震災以降、オンサイト木橋は緊急時の応急橋として利用する可能性も検討されました。これには鋼部材を使用せず、人が持ち運びできる軽量材のみで組み立てられるようなタイプも考案されました。
 応急的な仮設橋では軽量性や簡易組み立てが重視されるため、耐久性や腐朽に関する要件は優先順位が低くなります。一方で、各種の目的に応じて、防腐処理や通風性を向上させる工夫を施したタイプなど、各種のオンサイト木橋が考案されました。

豪雪に対応するもう一つの戦略「床版開閉式木橋」

 後藤教授は、山間部の歩道橋や登山道など、自然景観と調和し、大型の重機を使用せずに施工できるオンサイト木橋の開発に関わってきました。しかし、これらの地域では積雪荷重への対応が課題となります。特に、3m以上の降雪が想定される豪雪地帯では、雪荷重で落橋することもあり、3mの降雪量では1㎡当たり約1tfの荷重が発生し、湿雪の場合はさらに荷重が増加します。
 このような条件に対応するためには、角材と鋼部材をハイブリッド化して剛性を高める必要がありました。しかし、冬季の雪荷重のためだけに剛性を過剰に高めた構造は、冬季以外の登山道用途として見ると、かなりオーバースペックな設計となっています。
 こうした積雪荷重の回避策として冬期間は床版を取り外し春に再設置するといった運用もありますが、これでは現場の作業負担が大きく実用的ではないことから、この課題を解決するため、金鲨银鲨_森林舞会游戏-下载|官网の後藤教授や博士コースの及川大輔さん(下に紹介記事)の他、秋田県立大学木材高度加工研究所の野田龍准教授や株式会社ウッディさんないとの協力体制による共同研究が立ち上がりました。この共同研究の中で考案されたのが「床版開閉式木橋」です。

 前述のオンサイト木橋では、豪雪地帯の山間部における積雪荷重に対抗するために鋼部材を用いたハイブリッド構造を導入し、過大な雪荷重に対して正攻法で対抗しようとする戦略でした。一方、床版開閉式木橋は季節の変わり目に人力で床版を開閉できるトランスフォーマブル構造を採用し、橋梁として機能する必要のない積雪期は床版を折りたたむことによって、積雪荷重を回避できるようにしました。
 この工夫により、積雪期の雪荷重を半減できるようになったため、オンサイト木橋のようなハイブリッド構造を導入しなくても、10m程度の登山道には適用できる構造を提案し、その実用性を実験と数値解析の両面から確認しています。

構造の特徴と仕組み

 「床版開閉式木橋」は冬季間に床版部分を折り畳んでワイヤーで固定し、桁間を開くことにより積雪を桁間から落とす仕組みを備えています。
 一方、春~秋にかけては床版を閉じ、歩行者が安全に渡れる橋として機能させます。床版の開閉作業は1人で容易に行える仕様となっており、実用性と安全性を両立させています。

実地試験と性能評価

 床版開閉式木橋の性能検証として、秋田県の豪雪地域(羽後町、玉川ダム、横手三内)において野外暴露試験が実施されました。試験対象は全長6mの橋で、手すりがあるタイプとないタイプの2つが使用されました。
 試験では、積雪1mの条件下で観測では桁部分に60cmの積雪が見られましたが、床版開閉式木橋の開いた桁間から雪が落ちるため、積雪荷重を約50%軽減できることが確認されました。更に、想定し得る様々な雪荷重に対する橋の性能や安全性を評価するため、弾塑性解析、座屈解析、振動解析といった各種の数値シミュレーションを実施しました。その結果、想定し得る様々な雪荷重を受けても床版開閉式木橋は十分に耐え得ることが確認されました。

携帯デバイスを用いた木橋の劣化診断技術

 木橋というのは腐朽しやすいため、新しいタイプの木橋を提案するとしても、雪荷重を回避するといった構造面からのアプローチのみでは不十分であり、現実的なメンテナンスが可能なのかといった保全面からのアプローチも重要になります。そこで後藤教授は、博士コースの及川さん(下に紹介記事)とともに、加速度センサー付きのタブレットを用いて木橋の固有振動数を測定することで、その劣化具合を推定する手法を構築しようとしています。
 これまで、研究室の学生たちと主に秋田県内の異なるタイプの木橋に対して、この手法で固有振動数を測定し、3Dモデルによる数値シミュレーションとの比較等から、一定の測定精度が得られることを確認しています。

研究姿勢と木質構造への思い

 後藤教授によると、研究者には「人の役に立つことをしたい」という動機で研究をする人と、人の役に立つかどうかには興味がなくて、ただ「自分が面白いと思うことを追求したい」という純粋な好奇心を満たすために研究する人がいると言います。
 土木というのは「市民の工学」であり、そもそも人の役に立つための工学であり、最近はすぐに人の役に立つ結果が出るような研究テーマでないと外部資金も当たりにくいといった事情もありますが、研究というのは、やはり自分が純粋に面白いと思える部分があることが大事だと後藤教授は言います。
 後藤教授が木橋など、木材に関わる研究を行うのは、炭素固定とか環境負荷低減とかいうこと以前に、純粋に木質構造物や木製品(特に木製楽器など)の木目の外観や質感が好きだということがあると言います。土木における木材利用には、木杭など木材が見えない状態での利用方法や研究対象も多々ありますし、木材の有効利用や炭素固定の効果を考えるならそれらも大いに意義のあるテーマですが、後藤教授としては、木橋など、木目が見える状態で木材を利用するテーマに興味があるようです。

研究室の学生の声

大学院理工学研究科 システムデザイン工学専攻
土木環境工学コース 博士課程3年
及川 大輔 さん

 私は木橋について研究したいという思いから後藤先生の研究室に入りました。これまで床版開閉式木橋の開発や携帯デバイスによる木橋の劣化診断に関わり、さまざまな実験や野外暴露試験に取り組んできました。木橋特有のぬくもりや自然景観と調和する美しさが好きで、木橋に魅力を感じています。
 私の出身地には世界遺産に登録された地域があり、そこに木橋が架けられるのではないかと考えていましたが、実際には現代的な道路や橋が建設され、木橋は採用されませんでした。計画段階では木橋も候補に挙がっていたものの、高台から見ると盛土の陰になり橋が見えない景観設計となってしまったのです。その時、優れた木材が活用されなかったことに疑問や興味を抱き、木橋についてもっと深く研究したいと思うようになりました。
 木質構造は、その特性や魅力がまだ十分に活かされていないと感じます。これからも木橋をはじめとする木質構造の良さを多くの人に知ってもらい、幅広い分野での活用が可能になるような研究を続けていきたいと思っています。

(取材:広報課)
※掲載内容は取材時点のものです

大学院理工学研究科 システムデザイン工学専攻
土木環境工学コース
教授 後藤 文彦 Humihiko Gotou
  • 東北大学 工学系研究科 博士課程 1994年3月修了
  • 【取得学位】
    東北大学 博士(工学)
  • 【所属学会?委員会等】
    土木学会
  • 後藤文彦教授ホームページ